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陶の里動物病院

  • 所在地 岐阜県土岐市
  • 竣工 2006.02.08
  • 用途 動物病院併用住宅
  • 敷地面積 442.00㎡
  • 延床面積 299.06㎡
  • 構造 鉄骨造 3階建

VOICE

お客様の声

以前の病院は10年間の定期借地権の土地の上に建築したものでしたので、開業後7年位した頃から、具体的に移転プランを考え始め、TAC設計室にお世話になりました。病院兼住宅という建物を考えた時、無機質な病院然としたものではなく、温かみのある建物をと言うところから始まりました。また、地域の特性上、あまり奇抜なものは敬遠されがちとなるので、割とオーソドックスなデザインを選択しました。

病院内の構造に関しては、まず少人数のスタッフで動くという考えの下で、どの部屋からでも仕事の中心部分である処置室が見渡せるように配置しました。手術室においては処置室側を全面ガラス張りとして、解放感とスタッフからの視認性を高めました。また、特色としては、病院で飼育している小動物専用の部屋と猫専用の部屋を設置したことです。ただし、その為倉庫としてのスペースが十分確保できなかったことが残念でした。

1階部分の床全面には、深夜電力を利用した24時間床暖房を取り入れてあります。設計段階では、コストの面から採用を躊躇しましたが、実際に使用してみると真冬でも底冷えすることなく、非常に快適な空間をもたらしてくれています。

移転前の病院と比較して2倍の広さになったことで、各部屋が余裕のある空間となり、クライアント、スタッフそれぞれに快適な空間を提供することができました。

MESSAGE

スタッフメッセージ

岐阜県土岐市で陶の里動物病院を開業されている冨田院長より現在の病院が手狭になったので動物病院を建て替えたいと当社に連絡をいただきました。
定期借地ということもあり、期限のある中で希望する土地を探す必要がありました。
当社にお尋ねいただいてから最初に面談し、どのようなものを希望するか、将来どのようにしていきたいか詳しくお聞きすることが出来ました。開業医であるため資金面では問題はありません。 取引金融機関で金利と貸し付け条件の競合だけお願いしました。私どもの不動産部門と、先生の両者で探すことにしました。
先生の見つけたところについても当社が調査代行をしていきました。
今までのクライアントに来ていただくためにも、移転場所は基本的に現在開業している地域の周辺であることが必要でした。
当社が土地を見つけたときや、院長が土地を見つけるたびごとに一緒に移転用地を見に行って検討しました。 希望の土地と出会うタイミングはむつかしく、出会えないときはとても時間が掛かります。

土地を見つけるたびにラフプランを作成し、使える土地かどうかの検討を続けていきました。
土地を探し始めて1年近く立とうとしている中で、ちょうどガソリンスタンドが閉店し、元受け石油会社が土地賃貸契約を解除して地主に土地を返却するため、土地の土壌改良をして整地しているところを見つけました。 とても良い場所でしたので、早速、院長の了解を得て地主を訪問し、交渉を開始しましたが、もともと売りに出ている土地ではなかったので、地主の同意を得るまで少し時間が掛かりました。 次に購入予定の土地が地下ガソリンタンクのない部分であることを確認しました。
それでも万一土壌汚染されていた場合に備え契約書に地主の責任で土壌改良を行う旨を記載してもらいました。 土地の立地状況は東側が倉庫付き事務所、北側は空き地、南側は一般住宅でしたが高さ1.5mほどのコンクリート塀がありました。 そして西側が動物病院の正面となり道路に約20m面していました。
県道はゆるいカーブになっていて、そのカーブの外側にこの土地があるため町の中心部から車で走ってくると真正面に動物病院が見える好立地でした。それも少し高台に見えるため動物病院用地としては申し分ありませんでした。
ひとつ心配な点は大型商業施設が近くにあるため交通状況がクライアントの障害にならないかという点でしたが朝、夕の道路状況を院長自身に確認してもらい、大丈夫との確信を持つことができました。 また、ちょうど良い距離に信号があるため信号渋滞も無く、適度に交通が遮断されるのでクライアントが駐車場を出入りするにも都合がよい場所でした。
土地購入に当たり障害となるものを整理し、その間に院長が金融機関と金利や貸し付け条件を金融機関と交渉、無事土地売買が完了しました。

そしていよいよ実施設計がスタートです。当社では全ての土地に地盤のサンプルをとることの出来るボーリング調査を必ず行います。 ボーリング調査結果を元に構造計算を行い、同時に設備設計も進めます。

2005年4月1日に実施設計を開始し、5月31日に実施設計完了、建築確認が6月5日に降りました。
売買準備期間も含め2ヶ月ほど掛かりました。次に、建設工事をどこにお願いするかということが課題になります。
当然動物病院のクライアントさんの中にも建設関係の方がいらっしゃいます。 商業施設の中では常にその問題が発生するのですが、院長が特定の業者を指定されていない場合は、当社は入札参加業者を全てオープンにしています。入札参加をお断りするのは信用調査上不安がある業者さんだけです。 どうしても施主や私たち施主側の人間と建設業者さんとは利害が相反します。
院長や私たちは良い建物をお値打ちに提供して欲しいと考えますし、建設業者さんは少しでも工事費の実行予算を抑えて利益を得なければいけません。1社だけの見積りの場合、本当にその見積書の内容と金額が適性であるかどうか見分けがつきません。 そのため私たちは基本的にすべての工事で競争入札を行います。
工事競争入札とは工期、支払い条件を含め仕様書や、使用メーカーの指定された設計図面によって見積もり期間を決めて競争で見積り書を提出してもらうことです。 厳正に入札を行うために院長と一緒に見積書を開封、その内容(見積り間違いが多くあるため)を精査する時間を戴いて見積もり内容を私どもでチェック、結果をご報告したうえ最終的に院長が決めます。この病院では4社の建設業者に参加してもらい、競争入札の結果は見積書の最高額と最低額で650万円の差がありました。そこで交渉の結果、最終的に最高価格より約1000万円安く契約することが出来ました。
入札結果の通知は設計事務所が行います。 見積りに参加した建設業者が病院のお客様で断りにくい場合もありますので設計から入札まで全て設計事務所一任で、業者決定も設計事務所に任せて進めていることにしてもらっています。
2005年8月11日に地鎮祭を行い、陶の里動物病院新築工事を着工しました。
工事中の検査は工事中当社が検査の上、工事費の支払いが適当と認めたときのみ契約書どおりの支払いをしていただきます。
中間検査終了後、建設業者から提出された請求は当社で預かり、中間検査の手直し終了を当社が確認した後、請求書を施主である院長に渡します。工事の際、毎週1回は院長と打合せをお願いして、詳細な打合せや、報告を行っています。
この重量鉄骨造の建物は2階にロフトがあるため工事に少し時間が掛かりましたが、着工から6ヶ月ほどで完成しました。

動物病院の移転期間は皆さん仕事柄長期の休みを取れません。したがって大変短時間で、春までに工事を完了、連休にあわせて引越しをして、2~3日後には開業されています。引越しの期間に必要機材と医療機器の移動、機器調整、コンピューターなど事務機器や備品、書類、電話などを全て移動させなければいけまないのでかなり大変な引越しです。
陶の里病院は2005年2月1日に施主と設計事務所の検査を行い手直し終了後の2005年2月8日に建設業者から施主へ建物引渡しを行いました。 建物の建設工事の期間は構造種別にもよりますが、大体の目安として階数+3ヶ月を目安としていただくといいでしょう。
木造の場合はそれより少し早く、鉄筋コンクリートの場合は少し長く、それに敷地の状況によって完成時期が変動します。

陶の里動物病院は3階部分に広大なロフトがあるため3+3ということでちょうど6ヶ月の工期で完成しました。