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おがわ動物病院
動物病院施工例  動物病院施工例
動物病院施工例  動物病院施工例
小川院長と初めてお会いしたのは設計に着手する3年前でした。現在ある動物病院が手狭になったため新しい病院を建設したいというご相談でした。

最初は土地をどこに購入しようか、土地の適性はどうか、建てられる動物病院の規模の相談から始まりました。それ以来、当社と院長で協力して土地を探し、見つかるたびごとに動物病院に適した土地か現地調査を行い、建物プランを作成して検討していました。しかし、動物病院の性格上、今ある病院の近くから移動するわけには行きません。また、名古屋市の中心部で十分な駐車場を確保してゆとりある動物病院を作りたいという要望に合う土地が見つかって、一緒に既存建物を見て解体して更地にしてから設計に着手、完成まで5年間のお付き合いとなりました。時間を掛けて探したかいがあり、まさに希望通りの土地でした。

敷地の西側は幹線道路に面していましたが、病院の建つ敷地奥は閑静な住宅街でした。近隣の住民に何度も説明を行い、遮音や臭いの処理方法について詳しく説明を行いました。動物病院は近隣住民とうまく行かないと病院の存続にもかかわるため開業用地の土地調査段階で充分注意する必要があります。
病院を設計するに当たり、院長の希望された条件は停めやすい駐車場、屋外の待合、クライアントを待たせない4室の診察室、ゆとりある手術準備室、ヘパフィルターの入ったクリーンな手術室、犬の入院室を2室と猫専用入院室、屋外から出入りできる隔離室、屋内ドッグラン、2階に休憩室兼セミナールームと院長室、男女別更衣室、そして職員の住むマンション形式の部屋2室でした。それをクリアした中で設計を進めていきました。

看板は昼間でも夜間でも一目で目的の動物病院であることが分かる配色であることが大切です。建物についている文字看板は意匠的にデザイン優先とし、夜間は文字の裏側から壁を照らし文字が影となり浮かび上がるようになっています。 建物本体の意匠デザインには私どもに全てお任せいただきました。デザインの狙いは打ち放しコンクリートの普遍性と御影石のもつ力強さ、温かみのある色のやさしさ、相互の素材に連続性を持たせる白い壁で病院の清潔感を表現しました。
また、建物が西向きであるために、大きく張り出した玄関庇と御影石の壁で待合室に差し込む西日を減少させ、なおかつ室内に入る熱戦を吸収するガラスを使用することにより室内の温度上昇を和らげています。 外部には犬のためのおしっこポールと糞の始末をするための水栓便器を埋め込んでいます。いつでも地流しがきれいに洗浄できるように便器も特殊な形で地流しの水がスムーズに流れるものを採用しています。また、おしっこポールも臭いがよくつくように陶管を採用しています。
待合室での設計のポイントは、デザイン上外部との壁を床から天井までガラスにすることありますが、それでは待合室の外に外待合も出来ません。また、室内外の犬が落ち着かず近隣に騒音を撒き散らす原因にもなります。少なくとも室内の犬たちが外待合にいる犬たちを直接見ることが出来ないようにする工夫が必要です。 屋外にはその他、散歩から帰ったときの足洗い場、駐車場、外待合にはリードフックを備えています。
出入口は、メインの出入口のほかにフードや薬品の搬入専用出入口、職員やセミナーの来客用入口、屋内ドッグランからの散歩用出入口、伝染病など待合を通したくない場合の診察室からの出入口の5ヶ所用意しています。
室内は目的別にカラーを決めていきます。院長の好みやコンセプトにもよりますが、待合と診察室は汚れが目立ちにくいもの、処置は逆に汚れが分かりやすいもの。手術室は清潔さと消毒のしやすさ、入院室はウェットか、ドライかによって素材を使い分けていきます。

壁の下部の幅木と呼ぶ部分は動物病院では長尺シートを立ち上げるのが一般的ですが、素材によっては硬すぎて曲がらないものもあります。以前は輸入物が多くありましたが、最近は国産でお値打ちで良い長尺シートが手に入るようになったので多くの病院に採用しています。
私どもがもっとも得意としている遮音と、臭いが気にならないための空調のコントロールはおがわ動物病院も同様に行っています。そのため近隣から騒音の苦情もなく、待合室に生臭い臭いや、汚物の臭いが出てくることもありません。冬季も室温が一定になるよう建物全体に24時間の低温タイプの床暖房が入っているため、獣医師の腰痛対策や室内の乾燥の対策にもなっています。

このように動物病院は店舗と考えてデザインから入る場合もありますが、動物病院設計においては手術室や入院室など特殊な部屋があるため、人間病院で言えば入院施設を持つ大型病院設計の知識が要求されます。したがって獣医師やAHTがどのように動き、病院内に何が必要かを充分理解して計画を進める必要があります
建築費/45,100,000円
設備費/16,000,000円
外構費/4,300,000円
家具費/4,950,000円
総計/72,000,000円
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